星ナビ掲載,キャンプと久々乗鞍

目次

  1. 1. 星ナビ「ネットよ今夜もありがとう」コラムに弊ブログが紹介されました
  2. 2. 7月 ふもとっぱらでキャンプデビュー
  3. 3. 8月 3年ぶりの乗鞍

星ナビ「ネットよ今夜もありがとう」コラムに弊ブログが紹介されました

9月5日発売の星ナビ2022年10月号に掲載させていただきました.投稿写真ではなく,「ネットよ今夜もありがとう」という天文を楽しむ人のブログやホームページを紹介するコラムです.毎度お世話になっているM&Mさんからのバトンです.もともと天体写真界隈(ネット)ではそこまで親密な友人関係を作ったり,特定のグループに所属しないように心がけていたことや,Twitter などで見かける方々はすでに紹介されているだろう(バトンを渡す相手を見つけるのが大変だろう)という勝手な思い込みがあったので,正直載ることはない,仮に指名があったとしても断るだろうと最初は思っていました.が,M&Mさんからの指名とあってはそのご厚意を無下にするわけにはいきませんし,よくよく見てみると自分を含め意外と紹介されてない人はいるみたいなので,バトンを引き受けることにしました.とはいっても300字程度の紹介文を書いて,あとは先方の方がよしなにやってくれるので,大変なことは全くありませんでした.

ブログ紹介コラムです

このように載せていただけるのは大変ありがたいことです,M&Mさん,アストロアーツさん,ありがとうございました.
次回(12月号)に誰を指名したかはお楽しみに.

7月 ふもとっぱらでキャンプデビュー

さて,7月は星見をサボってキャンプデビューへ.テントの墓場と名高いふもとっぱらキャンプ場です.もともと昨年12月に行く予定があったのですが,体調を崩したので夏にデビューとなりました.

不動さんのほうとう

当日までに最低限のキャンプギアを揃え,厚木で友人を拾って向かいます.河口湖でお昼と買い出しをして,ワイナリーで夕飯のお供を選んでいたらだいぶ遅くなってしまいました.日月で利用しましたが,利用客はかなり多いように思えました.コロナで入場制限をしていそうですが,制限前はどれだけぎゅうぎゅうだったんだろう….利用される場合は早めにチェックインして,お昼は現地で作って食べるくらいがちょうどいいのかもしれません.とはいえ自分は今のところ料理に自信が皆無なので,慣れてからですね….
到着後,サクッと設営(大嘘,タープを立てるのに1時間くらい溶かしました)をして,焚火と夕飯準備です.

テントとタープ設営後
…タープしなしなじゃねえか.

夕飯は買ってきたソーセージをグリルで焼いたり,初心者おすすめメニューのアヒージョを食らったり…まあまあうまくいったのではないかと思います.焚火はまだまだ素人,バトニングちゃんとできるようになりたい…薪割り用の斧も持ってないのでほしいですね.

B6君デビュー
アヒーーーーー

夜の天気は微妙でしたが,薄雲越しの惑星や星団,登ってくる細めの月を楽しむことができました.

木星を眺めるの図
テントの中の音が外に漏れるというのは本当で,周りの人のいびきやら子どもの声やらがめちゃくちゃ聞こえてきました.
そんなこんなであまり寝ずに夜が明け,朝は朝食とコーヒーを楽しみつつ,高原の気温とは思えぬ暑さにヘロヘロになりながら撤収しましたとさ.

朝コーヒー
薪を頑張って燃やしてるの図,暑いです
撤収後,お疲れ様でした

その後はお昼食べて温泉入って帰宅.特に大きな問題もなく,良いキャンプデビューとなりました!

8月 3年ぶりの乗鞍

8月は,3年ぶりの乗鞍に行きました.冒頭でお話した星ナビの当ブログ紹介コラムに,大学に入学して最初に見た本格的な星空が白布峠と乗鞍岳の星空だということを書かせていただきました,思い入れの強い聖地です.大学一年生にして,現地ではほとんどの人が初対面であることに緊張しながら,一抱えの荷物と一緒に一人で新島々駅まで青春18切符で行ったことを思い出します.あの時も,一晩素晴らしい星空に恵まれ,友人の望遠鏡で直焦点撮影体験をさせてもらいました.
それからも毎年,夏には当時お世話になった団体で乗鞍に行っていましたが,コロナ禍では団体公式で乗鞍遠征は開催されていませんでした.しかし今年は行動制限が緩和されているということで,感染対策を十分に3年ぶり6回目に足を運ぶことになりました.今ではもちろん団体の人はほとんど顔見知りの友人で,バスを都内からチャーターすることで,大量の機材を持つようになった自分でもずいぶんと快適に行けるようになりました.

都内を10時頃に出発し,畳平には16時頃に到着.雲の中という感じで,夏とは思えない寒さ.ああ例年こんな感じだったなと懐かしい思いに浸りながら機材を宿に搬入します.

3年ぶりの乗鞍!

しばらくするとある程度視界は確保されましたが,夜まで快晴とはなりませんでした.とはいえ,一時的に天頂付近の雲がなくなり,標高2700mの天の川が見えました.スーパーワイドビノで見ると天の川の中の星がまあ見える見える.以前美ヶ原で見たものより一段よく見えるといったところでしょうか.また,途中天の川が薄雲を貫通して光って見えたのがとても印象的で,これが乗鞍の星空だ!ということを改めて思い出しました.
望遠鏡もセッティングしていたものの,日付が変わった頃から雨が降り出したためビニール袋をかぶせてテープと紐で固定,そのまま次の晩まで置いておきました.今年は翌日に乗鞍ヒルクライムを控えており,白雲荘から少し歩いたところのコンクリートの広いスペースは使えなかったので,宿の人にお願いして宿の前の坂に,なるべく邪魔にならないように機材を置いておくことができました.機材運搬の労力がかからず,とてもありがたかったです.
翌日は朝から剣ヶ峰へ.以前夜に登ってヘトヘトになり,もう登りたくないと思っていましたが,まあ昼間だったらいいかということで仲間についていくことにしました.

乗鞍ヒルクライムの自転車列,すごい数です
富士見岳の麓から.降りていく人も大勢いるみたい

富士見岳の麓まで歩くと,乗鞍ヒルクライムでゴール/帰っていくものすごい数の自転車が.いつも観測している場所も自転車やら人やらでごった返していて,こんなのは見たことないという光景でした.こりゃ機材出しとけないよね.…この乗鞍ヒルクライムですが,上位陣は観光センター?から1時間足らずで畳平まで上がってくるみたいです,たぶんバスより全然速いと思います,すげー.

一番手前が僕,山をナメた装備です
途中の岩場で休憩

肩の小屋までのんびり歩き,本格?登山開始です.乗鞍は北アルプス群の中では最も簡単なので,僕のようにバカみたいな装備でも怪我に気をつけつつ山頂まで上がることができます.…とはいえ友人が持ってきた飴やらには大変お世話になったのですが….

雲間から覗く北アルプス(槍,奥穂,前穂)
権現池,火口池?になります
御嶽山

息は上がりますが,それでもだんだんと晴れてくる景色が素晴らしい.雲間から高難易度の北アルプス(槍,奥穂高,前穂高)や御嶽山が見えます.父がよく登山をしているので,あそこに登ったのかぁと勝手に想像したり.権現池もいい感じです.

乗鞍剣ヶ峰 山頂にて

そんなこんなで山頂に到着し,記念撮影.山頂の神社で今晩の晴れを祈願し,ゆっくり降りていく頃には祈りが通じたのか青空が見え始めます.これは今晩期待できるんじゃないの?!

山頂売店で売ってるホットレモン,うまい!
東大の観測所がよく見えます
標高2800mで枝に刺さっている,カードキャプターさくらのあいつ
肩の小屋まで降りてきました

そして下山後は当然お昼を食べます.これがまた旨い.たぶんこのために登山してるんだと思う.

下山後の至福のカレーうどん

カレーうどん.ビールも注文できたが,流石に我慢(笑)
その後は雷鳥を探しながら宿に戻りましたが,残念ながら今年は会うことはできませんでした.その代わり,よくわからない種類の鳥が飛んでいるのを以前より多く見た気がします.
お昼にビールを我慢しておきながら,宿に戻ってからは夕飯の時間までお酒を飲みながらのんびりと過ごします.その間も空の雲は昨日と比べ明らかに少なく,「あれ,もしかして今晩本当にいける…?」という空気に.

晴れそう!

お風呂に入り,夜が更けます.
結論,大勝利と相成りました.薄明終了前から見えてはいけないレベルの天の川が見えています.素晴らしすぎる!!

21時半頃の天の川中心部付近

早速撮影機材を動かします.色々と問題がありましたが,周りの助けもあってなんとか露光をかけることができました.今回は北アメリカ星雲/ペリカン星雲をブロードバンドで露光.先日よっちゃん師の「天体写真作品 評価・鑑賞会」の動画で指摘されていた,星雲のRGBが交錯するような部分の透明感を表現するための素材が欲しかったためです.

北アメリカ星雲/ペリカン星雲 周辺

「北アメリカ星雲/ペリカン星雲 周辺」
2022年8月28日~8月29日 岐阜県高山市 乗鞍岳畳平
FSQ-85EDP+Flattener 1.01X
QHY268C
Gain 26/Offset 50/-20℃/180s*(51(NGC7000)+18(IC5070))
Optolong UV/IR Cut 2''
Total: 207min
タカハシ EM-11 Temma2 Jr. + MGEN-3
Adobe Lightroom CC / Photoshop CC / PixInsight/ Astro Pixel Processor
AstroBin

北アメリカ星雲と,ペリカン星雲で上下にモザイクしています.モザイクには APP を初めて使ってみました.そーなのかーさんのブログ記事が大変役に立ちました,ありがとうございます.
露光時間がかなり違っていたり,北アメリカ星雲が少しボケ気味になってしまったりと不完全な部分は多々ありますが,個人的には満足の行く仕上がりになったと思います.特に北アメリカ星雲の中の色の濃淡やペリカン星雲との色の差,ペリカン星雲周辺の淡く茶色っぽい領域などを表現できた気がします.何よりも,6回目の乗鞍で初めて直焦点作例を撮影できたというのが嬉しいですね.改めて乗鞍の空の素晴らしさがよくわかりました.

撮影のほうが安定してからは,坂の下のコンクリート部分(こちらも邪魔にならないよう)に TOA を出して眼視を楽しみます.

木星を見る

今回は残念ながら,惑星にはあまりシーイングが良いとはいえず,止まったような惑星はなかなか見えませんでした.以下に見たものをメモしておきます.

  • 木星
    あまり細かい模様は見えませんでしたが,とにかく明るい.地元で見るよりもコントラストが高いです.明るすぎて,逆に地元の方が見やすいまである笑.でもシーイングが良い時に見たら素晴らしいんだろうなあ.

  • 土星
    木星と違って星本体に細かい模様が少ない分こちらの方が見やすい印象.カッシーニの間隙まではバッチリ見えます.

  • 天王星
    初めて導入.双眼鏡でも見えるんですね.というかなんで導入したんだ().TOA-130 + TAK3.3-UW で確かに恒星でないことがわかります.海王星も見てみたかったが,導入はしませんでした.

  • アルビレオ
    50倍くらいで山の中に沈みかけの時間に見ました.やっぱ美しいです.

  • リゲル
    初めて伴星の分離に成功しました.そこそこ離れていて,なるほどこんな感じに見えるのかと一つ勉強になりました.

  • M31
    50倍で.あまりじっくりとは見ませんでしたが,馴染みのある感じ.

  • M45
    LE50mm があったので広角で見てみました.これくらい広角だとすばる全体が見渡せて良いです.

  • M42(Quad BP フィルター使用)
    電子観望してるような感じ.正立ミラーを入れているので写真通りの向きに見え,すごいリアリティ.

  • M27(Quad BP フィルター使用)
    フィルターを入れても入れなくてもそこまで変わらない印象を受けました.りんごの芯がよく見えます.

  • h-χ
    50倍で.シャープな光学系で広がった星団を見るのは至福のひと時です.

  • 網状星雲(Quad BP フィルター使用)
    TOAで一番見たかったやつ.LE50mm で見ましたが本当に素晴らしかった.以前40cmドブソニアンで見た際はもっときついフィルターを入れていたためか,あまり星が多くなく星雲だけがドン!と見えている印象でしたが,こちらはシャープな星々の海の中に,巨大で微細構造をもった星雲が確かに存在しているという臨場感がすさまじい.ほのかにHαとOIIIの違いもわかったような気もしました.

  • M57(Ninja400 + OIII フィルターで観望)
    人様の機材で見ました.リングの外側のうねうねもなんとなく見えたような気がする.

  • らせん星雲(Ninja400 + OIII フィルターで観望)
    こちらも自分の機材ではありません.中抜きの構造がわかりました.パイン飴みたいな感じ.

以上です.M31 や h-χ,惑星は宿に宿泊していた他のお客さんにも見てもらいました.特に土星に感動しておられて,よかったなあと思います.一般の方は300倍程度で見ることもあまりないですからね.
そうそう,M13 を見忘れるという大失態に(沈んでから)気づいて頭を抱えました.他にも見忘れたものがあるかもしれませんが,登山の疲れもあったので致し方なし.それにしても QBP フィルターと LE アイピースが今回いい仕事をしてくれました.自分では持ってないので買おうかな…と思います.特にアイピースは買えるうちに….

そんなこんなで薄明が始まってきたので眼視機材は撤収し,撮影機材もある程度片付けて1時間ほど仮眠をとりました.ガチの高山地だと片付けをするにもすぐ息があがるのでいつもの倍は疲れます.来年は体力つけないと…という気持ちになりました.
6時に朝飯を食べ再度少し仮眠.残りの機材も片付けて,撤収.疲れで帰りのバスの中では何度気絶したかわかりませんが,3年ぶり6回目の乗鞍.大変満足度の高い遠征となりました.

鶴ヶ池の前で
白雲荘の前で

大変お世話になりました.また来年も行くぞ!