はじめに

こんにちは.だぼです.久々のブログ更新になります.
お気づきの方も多いと思いますが,ブログのデザインが変わりました.というか PC 変更に伴って環境を再現できず壊れました.
ここ数日は仕事後に復帰作業をやっていました.まだできていないページとかもありますが少しずつ直していきますのでご容赦ください.

さて突然ですが,皆さんはモニターの HDR 表示を使いこなしていますか?
今回は,(おそらく)誰もやっていない天体写真×HDR をやってみたという記事になります.
一点,ここでの HDR とは,カメラでよくある露出ブラケットを利用した階調の回復,いわゆる撮影時の HDR とは全く異なることにご注意ください.

Display HDR とは?

そもそも,Display HDR とはなんでしょうか.これは主にモニターのダイナミックレンジが広がってきたことに伴う技術で,簡単に言えばせっかく高い bit 数(10bit 以上)で記録されている画像なのだから 8bit のダイナミックレンジではなくもっと広い階調で表示しよう,そのために黒はより暗く,白はより明るく表示しよう,みたいな考え方になります.

天体写真では暗い背景に淡い星雲,明るい星といった幅広い階調を鑑賞するわけですので,表示のダイナミックレンジは広ければ広いほど良いはずです.なのに,少なくとも自分の身の回りでは誰もやっていない,なぜでしょうか?
それは,Display HDR にはいくつかのハードルがあるからです.①十分な性能をもった PC 用ディスプレイは高額であること,そして②汎用さの不足です.
①については,十分な性能をもった一般人でも買えるくらいのモニターで,例えば最大輝度 1600cd,DisplayHDR1400 の規格をもった ASUS ProArt PA32UCG では40万円以上します.いくらギリギリ買えるかもとはいえ,HDR 鑑賞のためだけにそこまで使えるかは微妙でしょう.②については,例えば大手カメラメーカーの提供する HDR 画像は主に HEIF というフォーマットを採用しています.HEIF は 10bit のデータを高い圧縮率でもつことができる一方,展開に重たい計算が必要になったり,そもそもメーカーが提供するソフトウェアでなければ開くことすらできなかったりと,汎用性の面で問題を抱えていることも事実です.

しかし,これらの問題はそれぞれ解消されつつあります.まず,①のディスプレイの問題については,スマートフォンを使うことで比較的安価に楽しむことができるようになってきました.最近のスマホで撮影した写真は勝手に HDR になります.これは HDR GainMap 情報(後述)が付加されているためであることが多いです.YouTube(動画ですが) や Instagram, Threads などの Meta 社の提供する SNS は画像の HDR 表示に対応しています.最近 Instagram をやっていて,やけに明るい画像を目にしませんか?あれは HDR 対応のスマホで撮影されたデータだからです.
②の汎用性についても,HDR GainMap のサポートによって解消されつつあります.GainMap とは画像のどの部分を(HDR の領域まで)どれだけ明るくするかという情報で,通常の JPEG データに追加する形で付加されています.詳しくはAdobe の解説ページもご覧ください(元の英語版ではちゃんと HDR 画像が使われていますのでこちらでも OK).この方法を利用する最大の利点は JPEG という汎用的な画像フォーマットでも簡単に利用できることです.また,GainMap は相対的な情報ですので,ディスプレイのポテンシャルに応じて適切に輝度を上げた画像を表示できることも大きなメリットです.

早速天体写真でやってみる

では,早速やってみた結果です.前回の記事の M42 オリオン大星雲でやってみました.
まずは HDR GainMap なし.
M42 オリオン大星雲 2024ver.

HDR GainMap なし

次に HDR GainMap あり.

HDR なし

HDR GainMap あり

いかがでしょう.何度も申し上げますが,HDR に対応していないモニターでは両方同じ画像に見えるはずですが,HDR 対応モニターでは明らかに GainMap ありの方が星が明るくなり,コントラストが強く見えるはずです.HDR で見ていると SDR では物足りなくなっては来ませんか?笑
また少し色も派手になっていると思いますが,これは僕の GainMap の作り方の問題だと思います.
最近では Lightroom や Photoshop で HDR 編集ができるようにもなってきました.上記の M42 の画像は完全に独自の方法で作っているのですが,今後 HDR モニターを考慮した天体写真の編集方法もいろいろ出てくるかもしれませんね.
HDR について知っている人の中でも眩しくてウザいという意見は多いですが、こと天体写真の鑑賞という文脈にあっては、淡く微妙な濃淡の鑑賞のためにダイナミックレンジの広いモニターの性能を活かすことはごく自然な流れなのではないかと思っています.
HDR 天体写真,流行ってほしい.

それでは.